Lamanai ラマナイ

遺構解説 遺構N9-56

 他の建物と同様に、長期にわたる利用が認められる。高さは4.2メートルほどのさほど高くない建造物であるが、幸運なことに、壁面を飾るマスクがほぼ完全な形で残っている。時期的には5、6世紀、すなわち古典期前期頃にあたる。上下2つの基壇よりなり、マスクは中央の階段の脇にあった。上段にもマスクはあったが、後の時期の建築活動によって破壊されている。下段のマスクについては、時間の関係で南側のものしか調査されていない。このマスクの頭飾りにはワニらしき特徴が見られる。また正面階段の前面では、墓も発見されている。古典期の建物で埋まっている建物の床面を利用した墓である。床面で木を焼いた後、死体をその上に安置し、多数の副葬品を添えながら、周囲を石壁で囲んでいった。屋根には木や布をかけ、その上から石や漆喰を重ねていくという珍しい構造であった。後500年頃と考えられている。したがって、埋もれている建造物は、もっと古く、先古典期にさかのぼるようだ。実際この神殿の北側上段のトンネル発掘では、前100年頃にあたる漆喰のマスクが発見されている。セロス遺跡のものとよく似ているという。また後古典期に入り、主要な建造物が壊れた後も、ここは聖なる場所として、儀礼が執り行われたようで、粉々に壊されたマヤパン様式の香炉が出土している。


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