ホーム | ロラとロルの神様さがし | 〈絵本の森〉物語 || 〈哲学の森〉 | 定位哲学講座 | ギターと近代 || michikoの部屋 | 本棚(作品紹介) | 〈絵本の森〉近況報告 | プロフィール |
 定位哲学講座 menu

 更新日:2024年05月03日

 定 位 哲 学 講 座 序 言

 近代的定位 序論 第一回
        (講義1~3)


 近代的定位 序論 第二回
        (講義4~6)


 近代的定位 序論 第三回
        (講義7~9)


 近代的定位 序論 第四回
      (講義10~12)


 近代的定位 序論 第五回
      (講義13~15)


 近代的定位 序論 第六回
      (講義16~18)


 近代的定位 本論 第一回
       (その1~3)


 近代的定位 本論 第二回
       (その1~4)


 近代的定位 本論 第三回
       (その1~3)


 近代的定位 本論 第四回
       (その1~3)


 近代的定位 本論 第五回
       (その1~3)


 近代的定位 本論 第六回
       (その1~2)


 近代的定位 本論 第七回
       (その1~3)


 近代的定位 本論 第八回
       (その1~4)


 近代的定位 本論 第九回
       (その1~4)


 近代的定位 本論 第十回
       (その1~3)


 近代的定位 本論第十一回
       (その1~3)


 近代的定位 本論第十二回
        (その1)




〈定位哲学講座〉


    〈近代的定位の根源〉本論 第四回:
            ホッブズ 内乱なき自動機械としての国家

 本講座は、近代的定位論の序論としてすでに公開済みの〈近代的定位の根源 序論 第一回~第六回〉(各3回、計18本の動画)に続く本論にあたるものです。あわせて序論のほうも参照していただければ幸いです。
 〈近代的定位〉本論第四回目で使用する「テキスト」及び「キーワードと年表」は、以下のPDFファイルをご覧下さい。
 YouTube 動画では、これを三回に分けて講義します。これまでと同様に、動画は毎週末(金曜日)にアップしていきます。
 本論第四回(その1)の動画は既にYouTube にアップされていますので、以下の青字の部分をクリックしてご視聴下さい。

 近代的定位 本論 第四回:ホッブズ 内乱なき自動機械としての国家(その1)

 近代的定位 本論 第四回:ホッブズ 内乱なき自動機械としての国家(その2)

 テキスト(PDF):資料ダウンロード

 キーワードと年表(PDF):資料ダウンロード

 ホッブズ(1588-1679)の肖像銅版画と彼の主著『リヴァイアサン』の扉絵をご紹介しておきましょう。

ホッブズの肖像銅版画
(1668年、ウィリアム・フェイソーン画)

 この肖像の周囲に記された EN QUAM MODICE HABITAT PHILOSOPHIA というラテン語は、「見よ、哲学(つまりホッブズを指しています)はなんとつつましく暮らしていることか」という意味で、この肖像が描かれた当時すでに八〇歳に達しながらまだ執筆活動を続けていた高名な哲学者ホッブズのつつましい暮らしぶりを讃えています。



『リヴァイアサン』(1651年)の扉絵

 『リヴァイアサン』のタイトルページ左に置かれた扉絵は、十七世紀の書物にしばしば見られるもので、この時代(バロック期)に特徴的な寓意表現を用いてこの書物の意図を暗示しています。このエッチングは、フランスのアブラハム・ボスの手になる作品で、当時イギリスの宗教戦争がらみの内乱で、フランスに避難していたホッブズの意向を汲んで制作されたことが知られています。
 図の中央に立つリヴァイアサン、すなわち君主(統治者)は、王冠を戴く強大な巨人で、右手に地上の権力の象徴である剣を、左手にキリスト教的権威の象徴である司教杖を振るい、彼の前には地上の風景が広がっています。その下中央には、この本のタイトルが書き込まれた縁飾り付きの布が垂れ下がり、その左側下には城、宝冠、大砲、マスケット銃・スティック・旗・ドラムなどから成るトロフィー(勝利記念)、一番下には戦場が描かれ、これらはこの地上の力を代表します。
 これと対照させて、右側には教会、司教冠、教会紛争と教会裁判などが描かれ、これらは教会の権力を代表しています。
 つまり、リヴァイアサンはこの両者の上に立ち、二つの権力を統率し統治する絶対的な存在として描かれているのです。
扉絵、上部拡大図
 そして、このリヴァイアサンが着込んでいる鎖帷子(チェインメイル)のようなものに目をこらしてみると、それは数百の人々の身体を緊密に繋ぎ合わせたものであることが分かります。彼らは皆、忠誠心を込めて、この巨人、リヴァイアサンを見つめているのです。

 これがまさしく、ホッブズの説く強権国家のイメージでした。





Copyright © 前野佳彦 All Rights Reserved.